眼底検査から分かること
【眼底とは】
眼底は視神経、網膜、網膜を養う動脈や静脈などから構成されています。
【眼底検査】
眼底検査とは眼底カメラなどの器具を使って、眼底の血管や網膜、視神経などを観察する検査です。この検査は特殊な目薬で瞳孔を開くことにより視神経、網膜、網膜を養う動脈や静脈などを詳しく観察することができる眼科検査の基本的なものです。
【眼底検査の目的】
眼底出血、網膜剥離、視神経炎、黄斑変性などさまざまな病気を早期に発見し治療へとつなげていくことを目的とします。
【眼底検査で見つかる病気】
・緑内障:緑内障とは眼圧(眼球が硬くなる状態)が高くなることにより視神経を圧迫し視野が徐々に欠けてくる病気です。
・正常眼圧緑内障(NTG):眼圧が正常にもかかわらず緑内障となる人(正常眼圧緑内障NTG)が日本人に多いことが知られるようになりました。この病気を見つける検査として眼底検査があります。この検査では視神経乳頭の形状(視神経がどれだけ圧迫された形になってるか)を観察することができ、NTGを見つけ出すのに有用な検査となっています。
・糖尿病網膜症:糖尿病が原因で眼底出血等の症状が出現し、そのまま放置していると失明にいたる糖尿病を原因とする合併症です。進行した網膜症はレーザー治療や手術が必要となることが多く視力の改善も難しいのが現状です。そうならないためにも早期発見、早期治療が必要となります。ここでも早期発見に威力を発揮するのが眼底検査です。初期(早期)の網膜症の段階で適切な治療をうけることにより視機能を保つことは不可能ではないのです。
・高血圧:眼底は体の中で唯一血管の状態を直接肉眼で観ることができ部位です。眼底部の血管に動脈硬化や、血管が細くなっているなどの変化が見られた場合、全身の血管にも同じような変化があると推定されます。動脈硬化や細い血管は脳硬塞や心筋梗塞のリスクが高いことをを示します。また、目の病気の観点からも高血圧による眼底出血などから失明に至ることもあります。
その他の病気でも自覚症状がないまま進行してしまっていることがありますが、眼底検査ではそれらの自覚できない症状を早期に発見することのできる検査です。
【眼底検査と散瞳薬】
眼底検査は、眼の奥に光を当てて眼の奥(眼底)にある血管や神経を観る検査です。眼に光を当てると反射的に瞳孔が収縮するため、眼の奥(眼底)の観察が十分に行えません。そのため、瞳孔を強制的に開いたままの状態にする散瞳薬を使用して検査を行います。
【眼底検査でわかる病気(まとめ)】
- 糖尿病性網膜症:失明の原因疾患の第2位
- 緑内障:失明の原因疾患の第1位
- 網膜動脈硬化症の判定
- 黄斑変性(視力のおちる病気)
- 網膜静脈閉塞症(網膜出血)
- 後部硝子体剥離(飛蚊症などをおこす)
いずれの疾患も自覚症状が乏しいため、発見された時点では病気がかなり進んでいる場
合が多いようです。
糖尿病や動脈硬化症の持病をお持ちの方は、定期的な眼底検査を受けるよう心がけ、これらの疾患を早期に発見し早期治療につなげることが失明の予防につながります。
【眼底検査の基本的な流れ】
散瞳薬の点眼を行い、20~30分時間を置き十分に散瞳した状態(瞳孔が開いた状態)になるのを待っていただきます。散瞳したら、眼底鏡、眼接触鏡、眼底カメラなどを使い検査を行います。(眼底の状態を写真の記録として残します。)なお、検査時間はおおむね数分で終わります。
通常は、検査が終了した時点で縮瞳薬の点眼を行い散瞳した瞳孔が早く元に戻るような処置を行いますが、何もせずに自然に瞳孔が戻るのを待つ場合もあります。通常は、3~4時間程で散瞳薬の効果は無くなり散瞳薬を使用する前の状態に戻ります。
【眼底検査後の注意点】
散瞳薬の使用により散瞳している状態のため目の焦点が合わず眩しさを感じたり、平衡感覚がおかしいと感じることがあります。また、散瞳している状態では、眼の疲労が強くなることがあるため、車の運転や読書などで細かい文字を見たり、細かい作業は避けた方が良いでしょう。
【散瞳薬使用後の緑内障】
ごく稀に、散瞳薬の重篤な副作用として、緑内障発作の発症が事例として報告されています。検査後、急に、目の充血や目の痛み、目がかすむ、吐き気や頭痛といった症状が出た場合はすぐに医師に連絡してください。また、時間が経過してから発症する場合もあるので、視野が狭く感じたり、視野が欠損する場合にもすぐに眼科を受診することが必要になります。